星雲と半風子 

本の感想とか書きます。 a louse in a nebula

『サニー/レイニー/レインボー』Kindle販売してます

サニー/レイニー/レインボー

サニー/レイニー/レインボー

 

先日、Amazonに並びました!

学校でゲイだとカミングアウトした高校生×BL描きの女の子×隠れゲイ

の三人を中心とした、群像劇です〜

 

さっそくレビューもいただいてうれしい限りです。

Amazonで「藤丸心太」で検索すると、過去にやったライター仕事のやつがけっこう出て面白い。

あーこんな仕事してた。取材ちょう大変だった。てっきり匿名だと思ってたのに、これ記名だったたんだ〜。と少し感慨深かったです。編集さんたちはみんな元気にしているのかなあ……。

 

さて話戻って、少し作者解説を。

 

まず、僕は「自分がゲイだ」という自覚を持って高校を過ごしていて、そこからゲイのカミングアウト話を書きました。

 

BLは高校のころよく読んでて、すげえ面白い、あー、男の子が好きなの俺だけじゃないんだーと思って救われたので、羽咋が出てきました。もうちょっと具体的にいうと、これがWEB漫画っていうのは元ネタがあって、おくらくんの「そらいろフラッター」です。これを高校生のころに読んでたらどんな気持ちだったのかなあ、とよく考えます。能登みたいに、ずっと読んでるんじゃないかと思う。

 

親のカミングアウトは、実際に大学のころにやって、いまも進行形な感じなので、思ったよりすらすら書けました。家族へのカミングアウトというと、なんかこう、美談にされがちなのがあまり好きではなく。親もそりゃあ息子に突然そんなこと言われても納得できずぶちまけたいだろうなと思うのですよ。

 

僕は、あんまり人物のビジュアルとか考えずに、友達や俳優の顔とかぼんやり思い浮かべながら書いてるんですが、サラリーマンのお兄さんは、晋太郎くんがモデルです。さすがに作中みたいにこんな適当で節操のない人間じゃないけれど、独特のダメっぽさに癒される……という愛される男です。

「大丈夫なことなんかひとつもない。だから大丈夫」は、

 

"I'm Not Okay, You're Not Okay, and That's Okay!

(私は大丈夫じゃない。あなたも大丈夫じゃない。だから大丈夫!)

 

という英語の言葉です。

ワルダクミメガネーズという人たちが企画して出した、アンソロジーで、「IT's OK!」ってのがあるんですが(ちなみにそのアンソロジーシリーズのSF3ってのに、僕はコンドーム擬人化小説を書きました)、僕だったら"I'm Not Okay"だなあ……と思ったのがきっかけです。

七尾くんには、そういう"I'm Not OK"なところで救われてほしいなと思いました。なんかこう、友情のダークサイドとか、隠れゲイの辛さとか、そういうもの一身に背負わせてあれだったなあ……と思う。

 

この作品は、文フリとAmazonで売ってる「SUMMER CAMP vol.5」が初出なのですが、Kindle化にあたり大幅に加筆修正しています。サークルのメンバーや、友達から感想をもらったところで気になったところ、そして読み返して気になったところを直しました。大まかな流れは変わってないけれど、描写や過去の話、そしてラストは書き換えてます。

もう別物では、と思うくらい変わっている(3万字くらい追加)ですが、比較して読んだら……いかに描写とかエピソードの追加で作品が変わってくるか……というのがわかるかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

『サニー/レイニー/レインボー』Kindle出版します

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『SUMMER CAMP vol.5』収録の、「サニー/レイニー/レインボー」を、このたびKindleにて電子書籍出版することになりました。

 

現在アマゾンさんに申請中ですので、問題がなければ明日の朝には並ぶのではと思います。

 

電子書籍化にあたり、大幅にリライトしております。文字数も3万くらい増えました。

具体的には、プールのシーン、羽咋と七尾のエピソード、「アメとタイヨウ」の話、能登が母親にカミングアウトするところ……などです。

ラストもけっこうテイストも変わっているので、『SUMMER CAMP vol.5』を読んでもらった人にも楽しんでもらえるのではないかと……!

 

リライトにあたり、ほぼ最初から書き直し、キャラ設定や台詞などをばんばん見直してんですが、なんだかすごく楽しかったです。

 

表紙イラスト、デザインは晋太郎くんに協力してもらいました。校正もしてもらいました。ありがとう……。すてきな表紙をありがとう。

タイトルロゴは、前回の『SUMMER CAMP vol.5』をデザインしてもらった悠くんのものを流用しました。いろいろ元ネタがありますです。

 

「サニー/レイニー/レインボー」は、ゲイの男の子がカミングアウトをして、それをきっかけにクラスのBL漫画描きの女の子、隠れゲイの男の子が繋がって行く……という、自分の書きたいものを全部を出した感じなので、今回リライトできて楽しかったです。

Amazonに並んだら、また記事書きますね。

 

さて、あとはブーケットと文フリの原稿を……!

 

 

 

Kindleで買った本(1)〜99円セール編〜

 

Kindleが99円セールだったので買ったー。

いや便利だよねKindle。漫画はiPadに落として読んでます。

もっと買ったんだけど、とりあえず、5/3時点で99円セールので紹介。(一部例外あり)

 

版画みたいな独特の絵柄で楽しい。

成恵の世界(1) (角川コミックス・エース)

成恵の世界(1) (角川コミックス・エース)

 

金瓶梅: (1) (まんがグリム童話)

金瓶梅: (1) (まんがグリム童話)

 

99円なら迷わず買うべき。続刊だけど、一話完結のギャグ漫画だから、次が気になる! ということもないはず。というかこの作者の本手に入るやつは全部持ってるんだけどね! はまったら「ゲノム」買いましょう。

 

よくできたSFだったり、推理だったり。最近は「マーニー」も面白いよね!

続刊ですが(基本的に)1話完結。

 

フジ三太郎とサトウサンペイ: 1

フジ三太郎とサトウサンペイ: 1

昭和40年ごろの社会がわかって面白い。

 

くちびるに透けたオレンジ (百合姫コミックス)

くちびるに透けたオレンジ (百合姫コミックス)

 

ちょっと触れられてるけど、夫がSF作家の北野勇作。いかに節約を楽しみながら暮らすかというコミックエッセイ。SFの話はほとんどないんだけど、水族館にカニを見に行って夫が「SFやな」とつぶやくくだりが面白かった。その後に懸賞で当てたカニを食べて、余った甲羅でカニ汁を作っていた。

 

99円セールから半額セールに。(それでも安い)

しかし、書籍版よりきっつい修正かかってて、局部は全部白抜きになってるのでした。

ユルセナイ……(鉛筆を咥えてふすまに書く)

Amazonはアダルト判定厳しいっていうからね……。にしてもこんながっかりするとは思わなかった。書籍版買えって話ですよね。

 

セールで225円。いやこれマジで名作だから買った方がいいよ!

狼男や人魚など、社会から外れてしまった人間たちが、ぶつかったりしながら(そしてある意味ではわかりあえないままで)希望をつないで生きていく話だと思った。

ショートショートって本当にいいですよね。

『IT'S OK!!』感想(1)「いつか…、」

IT'S OK!!

IT'S OK!!

  • 作者: 犬義,拓ヒラク,晋太郎,村田ポコ,おくら,野原くろ,市川和秀,SUV,龍谷尚樹,ワルダクミ★メガネーズ
  • 出版社/メーカー: 密林社
  • 発売日: 2012/10/14
  • メディア: コミック
  • この商品を含むブログを見る

 

セクシュアリティで悩んでいても大丈夫! セクシュアリティを決めなくても大丈夫! な、若い子に向けたコミックエッセイ。

 

セクシュアリティとあるけれど、中身はゲイ(かもしれない)か、そのゲイの子のそばにいる ゲイじゃない男の子(いまのところ)のお話。レズビアンやバイセクシュアルやトランスジェンダーやら、セクシュアリティにもいろいろ違いはあるけれど、これらの描写はない。作家さんはゲイ系で書いてる人だからなー。思うに「ゲイ」とはっきり明言するよりも、「セクシュアリティ」って大きいカテゴリーで、(ある意味では)ぼかしたほうが、自分がいまどうなのか悩んでる人にとっては(そしてゲイということに心理的な抵抗がある人にとっては)手に取りやすいのかもしれないからなあとも思った。

 

 

さて内容は、9人の作家によるコミックあり、小説あり、イラストありのアンソロジー本になっていて、それぞれの作家による『IT'S OK!!』のメッセージが描かれている。

 

僕も「SUMMER CAMP」のサークルで、少年が主人公で、少年の性(特にゲイであるということ)をテーマにして書いているので、『IT'S OK!!』は非常に面白く読んだ。いやほんと満足だ…!

 

特に、「いつか…、」(拓ヒラク)、「バイバイシンドローム」(おくら)、「あの頃の君に」(晋太郎)の作品がよかった。

 

「物語の視点」に注目したい。どこから見てて書いているのか? ということ。だいたい、「作者視点」「未来からの視点」「現在の登場人物の視点」に分かれるんだけど、ゲイかも?って悩んでる10代に向けのこのお話では、この視点のあり方がものすごく大事になってくる。

 

「いつか…、」は、主人公はノンケ(たぶん)の男の子。この子の視点から、ゲイの友達を見つめる。

 

主人公がコンビニで立ち読みをしていて、ふと顔を上げると、向かいのカフェに友達の格(いたる)がお茶しているのを見つける。

 

(へえ…一人でカフェとか入るんだ…知らなかったな…)

(あ…なんだ連れがいたのか… お父さんかな? お父さんにしては若い気も…)

 

高校に入って最初に仲良くなって、一番仲がいい友達の格くんのことを、主人公は思い出す。

 

「え? 告白? 例の本屋さん?」

「たぶんダメだと思うけど…玉砕してくる!」

「玉砕しなかった!! 付き合ってくれるって!!」

(なんだよその緩みきったアホ面は…)

 

カフェで知らないおっさんといる格くんは、あの時と同じ緩みきった、幸せそうなアホ面をしている……。

 

コンビニのガラスが、そのまま届かない心の壁で、主人公はそれに寂しさを感じつつ、「ちゃんと紹介してくれよ、いつかな……」とそっとうつむいて本を棚に戻すのでした。

 

彼女どんな人? って聞かれて、

 

「眼鏡かけててー どっちかっていうと地味で… 真面目そうだけど…どことなくだらしな——— あ、愛嬌があるっていうか」

 

って、彼氏を彼女に置き換えつつ話す……みたいな感じとか好きです!

ああこれ僕も経験あるわー。年上(10才以上)と付き合ってたから、熟女好きなんだな! って言われたりしてね。熟女じゃねえよおっさん好きなんだよ!

 

ゲイ当事者じゃなくて、そのゲイの人の友人の視点にすることで、ゲイだと言えなくて秘密にしていること、そして友情のありかたや寂しさといったものが浮かび上がるところがよかったです。こういう思いもしなくて、友達に素直に言えるような世の中になるといいのにね。まじで。

 

拓ヒラクさんのサイト 

 

『勇者ヴォグ・ランバ(1)』(庄司 創/アフタヌーンKC) ネタバレあり

勇者ヴォグ・ランバ(1) (アフタヌーンKC)

勇者ヴォグ・ランバ(1) (アフタヌーンKC)

自由意志をシステムに委ねた「ペインフリー」が施行されることになった世界。軍人であるヴォグは、テロリストとなったかつての恋人ガアタに再会する。ガアタはペインフリーに反対する「覚醒派」。妹のキーハと共に機密物質を強奪したという。ヴォグは一師団を率いてガアタを追いつめようとするが、ガアタは圧倒的な力を持っていて……

 

これが一話の半分までのあらすじ。

 

※以下、ネタバレあります

 

 

この世界は、一見ネットなどのインフラが発達している近未来(いまの現代社会と地続きの社会)に見えるが、細かいところでいまの現代社会とは大きく異なる。戦車は馬が引いているし、運動を演算で物理的に実現できる「発現」(魔法科学のようなもの)が存在し、その発現力を鍛えすぎると変化してしまう「半竜」という異形(ガアタの妹のキーハ)がある。「這脳」という水中でも生活できるまんま脳みそな外見の人工知能、クローン人間など、SF好きならうおおお! と思わず熱くなる仕掛けがたくさんある。

 

こういうガジェットは見かけ倒しじゃなくて、この存在が社会にどう影響を与えていて、運営されているのか? というところがしっかり裏打ちされているのがきちんとSFで好きだ。たとえば、「発現」はなんでもできる万能の力に見えるが、結局のところこのヴォグ・ランバの世界では限定的に使用されるのみだ。かつては天才的な発現技師が戦争で大きな力を持つ存在であったが、合力の発見や重火器の発達で戦争での発現は廃れていき、科学技術も発現にとってかわり、結果として発現はインフラやバイオ分野など限定的な場面で限定的に使用されるものになっている。

 

そんなふうに世界観を脇から固めつつ、主題としては「ペインフリー」と、それに反対する「覚醒派」の対立という形をとる。ヴォグはガアタら覚醒派の仲間となり、ペインフリーを打ち倒す計画を練る。しかし、ペインフリー体制を打ち破るということは、世界の滅亡を回避したい、生存したいという意思と戦うことだった。なぜなら、ペインフリーは「世界が滅亡するよりかは、自由意志をなくす」ということを選んだものだったから。

 

ペインフリーは『ハーモニー』(伊藤計劃)に影響を受けていると作者もあとがきで書いていたが、そういえばWatchMeも大災厄後に病が蔓延した社会の反動として、過度の生命主義に陥ったのだった。同じように、この『勇者ヴォグ・ランバ』の世界でも、いつ核戦争が起きて世界が滅亡するかわからないという不安を抱えており、その破滅を回避するためにペインフリーを進めたのだった。

 

しかし覚醒派の戦いは、ただのゲリラ戦にはならないし、世界の滅亡に一人の人間のドラマを引き込むようなセカイ系にもならない。ペインフリー体制に打ち勝つために、「戦争のない世界」を構築しようとするのだ。

 

で、ここから面白くなってくる! というところで2巻へ。最終巻は2/23日発売。いやほんと、まじおもしろいんすよ!

 

Kindle Paperwhite Wi-Fiを買いました

はい買いました!

タブレットは、iPad2も持ってるんだけど、e-inkディスプレイに惹かれて買いましたっ。

 

Wi-FiでさくっとつないでAmazonショップでお買い上げだぜヒャッハー!

しかし、自宅で使ってるWi-Fiを選択してもエラーが返ってきて接続できない……何故?

もしやと思って調べてみたら、そういう不具合があるみたい。なんでも、Kindle Paperwhite はDHCPが使えないので、Wi-Fiに接続するにはルーターのほうの(Kidle側じゃないです)の設定を切り替えなくちゃいけない……?

 

そんなの聞いてないわよー!

 

でもTさんに頼んでやってもらいました。

後で別のところのWi-Fiでやってみたら、設定しないでも入れたんだけどねえ。特にBUFFALO製品と相性が悪いみたい。こういうのでごたごたしたくない人は、ちょっと割高になるけど3Gをおすすめします……

 

さてさて、なんとか(Tさんのおかげで)つながり、ようやく使用。

実際手に持ってみると、なかなかなじむ大きさ。軽い軽い。文庫本くらいの重さですかね?

ディスプレイはe-inkということで、たしかに読みやすいです。テカリもないし、字もきれいだし。それに、指で触ったときの独特のざらっとした感じが、紙の質感とよく似ていて、本を読んでるときの感覚と近いと思った。iPadがアートポスト紙としたら、Kindle Paperwhiteはクリームキンマリって感じ。

 

表示速度は、うーん。iPadになれてるとちょっともたつく感じ。ページをめくると、一瞬白黒反転して、それから次のページが描写されるんだけど、本読む分にはこれくらいのスピードでも許せる。UIもなんだかごっついけど、Amazonからワンクリックで買えるってのはやっぱり魅力ですよ!

 

というわけで、田亀源五郎先生の『デカとヤクザとニンジンと』(500円)をDL。

 

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(カバーは純正のを買いました)

 

またこの本の感想もいつか!

星雲と半風子

どうもこんにちは。ジン太です。

自分用のメモと、本の感想のまとめと、創作物の宣伝のためにこのブログ始めました。

 

ライターでグルメ系などの取材(最近はぼちぼち)、同人で小説やってます。ジャンルは創作少年小説。全年齢のジュブナイルだったり、BLだったり、ショタだったりもします。

 

2010年から、文学フリマSUMMER CAMPというサークルで出店してます。

SUMMER CAMP vol.5

SUMMER CAMP vol.5

最新作はvol.5。僕は「サニー/レイニー/レインボー」っていう、原稿用紙130枚換算くらいの中編書いてます。

 

ブクログのパブーにも、電子書籍公開してます。

初めて書いた小説だけど、今見ても以外と面白い(自画自賛)、少年がビニール傘で少年と空を飛ぶお話、「ビニール傘と里山くん」

デブショタの初恋の話「チョコレート」

SUMMER CAMP vol.4のスピンオフ「通い路」などなどー。

 

あとタイトルの星雲と半風子は、しらみ の別名が半風子(漢字で「虱」と書くから)で、 あと星雲って付けたらかっこいいんじゃないですかね! ネビュラ賞みたいで! みたいなノリで決めました。

 

とまあこんなかんじでよろしく〜

いまいち距離掴めてないけれど、だんだん文体もこなれてくるのでは……